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犬の甲状腺機能低下症

 甲状腺ホルモンは、体内でのエネルギー代謝を調節するホルモンです。分泌量が低下すると全身に様々な影響を及ぼします。これが甲状腺機能低下症です。

 主な症状としては、無気力、肥満、皮膚の脱毛などが挙げられます。その他、徐脈、神経障害、感染性皮膚炎、外耳炎、胆嚢疾患、生殖機能異常などが認められる場合もあります。脱毛などはわかりやすいですが、無気力や肥満などは家で見ていてもわかりづらく、年齢や性格によるものと捉えられていることが多いようです。全般的に症状がはっきりしないため、気付くことがなかなか難しいかもしれません。

 診断には血液検査を行います。一般項目では高脂血症、肝酵素値の上昇、軽度の貧血などが認められることが多いです。最終的に甲状腺ホルモンの測定を行います。甲状腺ホルモンには総T4、遊離T4など検査項目がいくつかありますが、複数項目の測定が必要になる場合もあります。

 治療は甲状腺ホルモン剤の内服です。症状とホルモンの数値の変化をみながら量を調整していきます。甲状腺の機能は回復しませんので生涯の投薬が必要にはなりますが、投薬を続ければ予後は良好です。

 診断上の問題点として、甲状腺ホルモンの数値が甲状腺機能低下症だけでなく以下のような要因によっても低値になることが挙げられます。
 他の病気(腫瘍、感染症、内分泌疾患など)の存在によって甲状腺ホルモンの分泌が抑制されます。これは全身状態の悪化に順応した生理的反応と考えられています。よって、甲状腺ホルモンが低値の場合には他に病気がないかどうかも考慮しなければいけません。
 また同様に、一部の薬剤(ステロイド、消炎剤、抗菌剤、抗てんかん薬など)の投与によっても甲状腺ホルモンの分泌が抑制されます。別の病気で投薬中であったりする場合にはこれも考慮する必要があります。

 上記のような場合には、甲状腺ホルモンが低値であっても治療は推奨されません(他の病気の治療は行う必要があります)。確実に診断するためには、甲状腺ホルモンの数値だけではなく症状や他の検査所見と併せて判断し、同時に他の疾患を除外する必要があります。実際には誤診されている例も多いようです。

 甲状腺機能低下症は症状がはっきりしないなど早期発見が難しい場合もありますが、脱毛などの症状があったり、健康診断において高脂血症や胆嚢疾患が認められたりした場合には、詳しい検査や治療をご検討いただければと思います。

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