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【コラム】犬と猫の糖尿病

 
当院では、なぜか昨年あたりから糖尿病症例が増えております(執筆時点で14頭)。今回は糖尿病についてまとめました。
     

治療の必要性について

犬猫の糖尿病は、発覚しだいすぐに治療(インスリン注射)を開始する必要があります。飼い主さんによっては、「運動や減量をさせれば治るだろう」とか、「元気も食欲もあるのだから死ぬわけがない」とか甘く考える方がいらっしゃいますが、そうしていると1ヶ月も経たずに急変して亡くなってしまう可能性があります。

人の場合は軽症のうちに見つかれば運動や食事管理などによって改善するのかもしれませんが、動物の場合は軽症のうちに見つけることがほぼ不可能であり、即治療が必要です。人の場合でも重症で見つかれば即入院治療になりますので、それと同様とお考えください。
 
   

治療する価値があるかどうか

治療としては、生涯において毎日2回(どうしても無理なら1回)インスリン注射を打ち続ける必要があります。注射以外の選択肢はありません。費用の問題よりも、毎日決まった時間に注射しなければいけないという問題のほうがハードルが高いです。

インスリン注射を続けてどれだけ生きられるのかという点についてですが、上手く管理できれば相当長く生きられます。人の場合は糖尿病による合併症(腎臓、網膜、血管など)が生じやすいですが、動物の場合は犬の白内障以外の合併症は生じにくいです。血糖値を完璧にコントロールすることは難しいですが、ある程度コントロールできていれば重篤な合併症なしで生きていくことができます。

まとめますと、糖尿病は治りはしないものの、インスリン注射さえ頑張って続けられれば良い健康状態で長期間生きることが可能です。個人的には、治療する価値は大いにあると考えておりますし、治療しない選択は理解できません。
 
 

糖尿病は治るのか

糖尿病は治らないとすでに書きましたが、実は猫の糖尿病だけは治る可能性があります。

猫においては、インスリン治療を始めて数週間後くらいに膵臓機能が回復して注射が必要なくなる場合があります。自然に治るわけではなく、初期の治療は必須です。また、治るかどうか予測はできません。一旦治った後に再発することもよくあります。

当院においては、猫の糖尿病が一旦治る確率は3割くらいかと思います。治って数ヶ月〜数年後に再発する猫が多いですが、再発していない猫もいます。
   
 

糖尿病の症状について

糖尿病の主な症状は『多飲多尿』です。『食欲増加』『体重減少』もみられますが、食欲は必ず増えるとは限りませんし、体重減少に関しても初期に気付くのは難しいです。『多飲多尿』が特に重要であるとお考えください。他に『尿の臭いがいつもと違う』といった症状がみられる場合もあります。

これらの症状に気付いたら、早めに動物病院を受診してください。元気だから様子を見ていいんじゃないかと思いたくなる気持ちはよくわかるのですが、様子を見ているとある時点でガタッと状態が悪くなって生命の危機に瀕することになります。そうなると治療が大変ですし、救命できない可能性もあります。
   
 

糖尿病と慢性腎臓病の違い

多飲多尿という症状は慢性腎臓病でもみられます。慢性腎臓病では食欲は増加せず、多飲多尿も長期間かけて徐々に進行します。一方で、糖尿病は症状の進行がもっと速く、短い期間で急激に症状が出る傾向があります。来院した飼い主さんに伺うと、数週間前から急に飲水量が増えたと言われることが多いです。ある時点を境に急激に飲水量や食欲が増えたという場合は、慢性腎臓病よりも糖尿病の可能性のほうが高いでしょう。慢性腎臓病の治療が1ヶ月遅れてもどうということはないですが、糖尿病の治療が1ヶ月遅れると大変なことになるかもしれません。

多飲多尿という症状は病気が関わっている場合が多いです。症状に気付いたら、元気や食欲があったとしてもとりあえず動物病院を受診して血液検査だけでも行ってもらってください。あるいは、糖尿病だけ考えるのであれば尿検査でも検出することができます。
   
 

糖尿病の初期治療について

・元気や食欲がない場合
  入院治療が必須です。

・元気や食欲がある場合
  状態しだいでは通院治療も可能です。

元気がない、食欲がない、吐いている、などの症状がみられる場合は『ケトアシドーシス』という瀕死の状態になっている可能性が高いです。その場合は、治療を開始すると血糖値だけでなくカリウム、リン、カルシウムなどの数値が激変しますので、それらに対処しないと即死します。具体的には、数時間毎に血液検査を行い、インスリンの量や輸液の成分を調整しなければいけません。24時間管理が必要ですので、治療は非常に大変かつ費用も高くなります(一般的に20万円以上は掛かります)。状態が改善したら退院し、家でのインスリン注射に移行します。

元気や食欲がある場合は、基本的には血糖値だけを気にすればいいので、入院せずに家でのインスリン注射を開始することも可能です。

このように、最初の状態によって初期治療が変わってきます。なるべく元気なうちに動物病院を受診してください。
   
 

通院治療について

インスリンを1種類選択し、家での注射を開始します。血糖値はすぐには安定しませんので、最初は少なめで開始し、徐々に量を増やしていくことになります。

当院では、最初は5日〜1週間毎くらいに来院してもらっています。
   
 

インスリンの選択について

インスリンの効き方は個体差が非常に大きいです。インスリンの種類と量を試行錯誤して決めていきます。

当院で使用しているインスリンは、作用時間が短い順に、ノボリン30R、ヒューマリンN、プロジンク、レベミル、ランタス、トレシーバです。動物の種類・動物の大きさ・食事内容などを考慮してインスリンを選択します。

選択したインスリンで丁度よく効いてくれればいいのですが、効きが悪い場合は別のものに変更して再度調整していきます。
   
 

血糖値のモニターについて

血糖値は主に以下のいずれかの方法によってモニターします。

・血糖値が一番低そうな時間帯に来院してもらって測定する

・半日入院し、数時間毎に血糖値を測定して血糖曲線を作る

・2週間程度の期間の血糖値を反映する数値(糖化アルブミン、フルクトサミンなど)を測定する

・FreeStyleリブレ(フリースタイルリブレ)という機器を使って測定する

半日入院して血糖曲線を作る方法が一般的ですが、何回も採血しなければいけなかったり、入院時のストレスで血糖値が高くなったりといった問題があります。面倒なので、当院ではほぼ行っておりません。

当院では、血糖値が低そうな時間(接種の6時間後)に来院してもらって血糖値と糖化アルブミンを測定することが多いです。この方法は簡単ではありますが、何時間後が最低値なのか、何時間効き続けているのか、などの情報がわかりませんので最善の方法ではありません。ただ、血糖値と糖化アルブミンの数値が安定しているのであればこれでも問題ないと考えております。

数値が安定しない場合は、FreeStyleリブレという機器による測定をお勧めしております。
   
 

FreeStyleリブレ(フリースタイルリブレ)について

FreeStyleリブレは、2週間にわたって血糖値(厳密には血糖値ではなく細胞間質液の糖濃度ですが、以下血糖値ということにしておきます)を連続的に測定できる機器です。センサーを皮膚に貼り付けると、リーダー(スマホでも可能)をかざしてスキャンするだけで血糖曲線がわかります。2週間使えますので、1日毎にインスリンの種類や量を変えて試行錯誤することができます。

free

freestyle

これを使うと、病院に来院する必要もなく、採血する必要もなく、家にいる時の血糖値の推移が簡単にわかります。本当に便利な機器です。

問題点としては、価格が高いことと、センサーがズレたりはがれたりすると使えなくなることがあります。体をよく舐める動物だと厳しいですが、服を着せればだいたいはなんとかなります。

当院では、『センサー装着+リーダー貸出+(服もあれば貸出)+2週間の指導(メールなど)』を16500円で行っております。すぐ取れてしまった場合は、もう1回は無料で装着させていただいております。
   
 

食事について

糖尿病の動物においては、糖尿病用療法食または減量用療法食が適しています。ただし、それらを好んで食べないのであればふつうのフードでかまいません。日によって食べたり食べなかったりすると血糖値が変動しますので、安定して食べることが最も重要であると言えます。
   
 

食事を食べなかった時の対応について

食事を食べなかった時にいつもと同じ量を注射すると、低血糖になるおそれがあります。食べなかった時は注射量を減らすか打たないかのどちらかがいいです。一回打たなくてもおそらく大丈夫ですが、二回以上打たないのは危険です。すぐに主治医に相談してください。
猫や小型犬は、体調が悪くなくても気分しだいで食べないことがあります。そのような傾向がある動物では、安定して食べてもらうように工夫する必要があります。
   
 

猫の糖尿病寛解について

猫の糖尿病は治る可能性があると書きましたが、治る過程において低血糖が生じます。低血糖に早めに気付いてインスリン量を減らしていかなければいけないのですが、これは予測できないためなかなか難しいです。治るかどうかわからない状態でインスリン注射を続け、結果的に低血糖になった場合にはこれに早く気付く必要があるということになります。

具体的には、低血糖の症状がないか家での様子をよく観察する、血糖値を頻繁にモニターする、といった対応になります。

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