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【コラム】猫の慢性腎臓病の治療

 
猫の慢性腎臓病に関しては、近年様々な薬やサプリメントが販売されており、どれを使えばいいのかわからないような状況になっております。

今回は、各種治療法について解説します。
  
1.療法食
慢性腎臓病の猫では、リンを摂取制限することによって病気の進行を遅らせることができます。また、タンパク質を摂取制限することによって尿毒症症状を抑えることができます。
以上の理由から、慢性腎臓病の猫では、リンとタンパク質が制限された腎臓病用療法食の給餌が推奨されます。最近はリンのみを制限したフードも販売されており、病状しだいではそちらのほうが適している場合もあります。
当院で販売しているのはキドニーキープ(2.1kg 3680円 税込)、キドニーケア(1.5kg 3250円)、早期腎臓サポート(2kg 3600円)などです。その他の製品も取り扱っております。
なお、注意点ですが、腎臓が悪くない猫に腎臓病用療法食を食べさせるのは良くないです。低タンパク質高脂肪ですので、基本的には健康に悪いフードということになります。お金がかかる上に健康にも悪いというのはバカみたいですから、素人考えで療法食を食べさせるのはやめましょう。

2.リン吸着剤(レンジアレン、プロネフラ、キドキュア、イパキチン、リオナなど)
療法食を食べさせても血中リン濃度が高値の場合は、リン吸着剤の内服が推奨されます。
吸着剤としては、粉、液体、錠剤などがあります。

3.活性炭製剤
活性炭製剤は腸内で毒素を吸着する効果がありますが、最近はあまり推奨されていないようですので、当院では使っておりません。

4.フォルテコール、セミントラ
タンパク尿が持続すると腎臓病の進行が速まります。フォルテコールとセミントラはタンパク尿の軽減に有効な薬です。
ただし、猫の慢性腎臓病では、タンパク尿を呈するケースは多くはありません。そのため、これらの薬は一部の症例においてのみ有効ということになります。

5.アムロジピン
腎臓病は高血圧を引き起こすことがあります。血圧が高い場合にはアムロジピンなどの降圧剤の内服が推奨されます。

6.ラプロス
ラプロスは、腎臓の虚血、炎症、線維化などを抑制する効果があるとされている薬です(当院では1ヶ月9700円)。

7.アミンアバスト 
アミンアバストは、腎機能をサポートするアミノ酸サプリメントです(当院では体重4.5kg未満だと1ヶ月4200円)。

8.アゾディル  
アゾディルは、窒素老廃物を分解する特殊な菌が配合されたサプリメントです(当院では体重2kgだと1ヶ月3900円、4kgだと7800円)。

9.皮下輸液
腎臓病が重度の場合は、定期的な皮下輸液が推奨されます。家で行うのが望ましいですが、不可能な場合は通院でも行うことができます。
皮下輸液はやればやるほど良いわけではありません。腎臓病が軽度の場合には推奨されません。

10.その他の治療
血中カリウム濃度が低い場合は、カリウム製剤(錠剤または液体)を内服します。
貧血がある場合は、エリスロポエチン製剤を注射します。
嘔吐がある場合は、制吐剤(セレニア)を内服または注射します。
食欲不振がある場合は、食欲増進剤(ミルタザピン)を内服します。

11.再生医療
再生医療と聞くとiPS細胞などの夢の治療法みたいな印象を受けるかもしれませんが、そうではないことにまず注意が必要です。
獣医療において行われている再生医療は、脂肪幹細胞の注射です。脂肪幹細胞を注射しても腎臓の細胞には分化しませんが、炎症や線維化を抑制するサイトカインを分泌するため、その効果を期待した治療ということになります。慢性腎臓病に関しては、残念ながらエビデンスは乏しいようです。やって悪いことはありませんが、毎回5万とか10万とかかけてまでやる価値はあるのかという問題になると思います。個人的には、同じお金をかけるのであれば、ここまで書いてきた他の治療法を地道に行ったほうがいいのではないかと考えております。
 
  
以上を踏まえて治療法を選択します。全部やるのも悪くはありませんが、投与の手間や費用などを考えると現実的ではありません。

まず、最優先で試みたほうがいいのは食事療法です。療法食は各社から販売されていますので、どれか食べるものがあれば続けていただくのがいいでしょう。

それ以外の治療法は、猫の状態、病院の方針、飼い主さんの意向などによって異なってきますので、どれが正解ということはありません。

慢性腎臓病を劇的に改善させる治療法は存在しませんが、地道に治療を行うことによってより永く生きられるようになるとお考えいただければと思います。

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