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院長コラム
2018/01/21
【コラム】入院について

 入院のメリットは、通院ではできない治療ができる(点滴、酸素吸入など)、状態を見ながら対処できる(発作時、呼吸困難時など)、飼い主さんの看病の負担が軽減される、などが挙げられます。一方でデメリットは、動物にストレスがかかる、費用が高くなる、入院中に亡くなった場合に飼い主さんが看取ることができない、などでしょうか。

 入院が必要かどうかは当然ながら動物の状態によります。重度の脱水や止まらない発作などを家で治療できるはずがありません。ストレスがどうこうと言っていられる状況ではなく、治療するためには入院が必須です。
 ただ、どちらとも言えないような状態の場合もあります。入院すればなんでもすぐに治るかというとそういうわけではなく、通院と大差ない場合もあります。

 私は可能な限り通院を勧めるようにしていますが、売上のために入院を勧める病院もおそらくあります。飼い主さんが判断するのは難しいですが、例えば、あまり状態が悪くもないのにたいした説明もなく検査入院しましょうとか勧めてくる病院は怪しいです。私はそれなりの根拠と目的がない限り入院を勧めませんので、軽い感じで入院させる病院は信用しておりません。

 入院といえば、夜間にどのような管理体制になっているかというのは気になるところだと思います。獣医師が泊まりがけで看るのが当たり前だと思われる方がいらっしゃるでしょうが、一般的にそういうことはありません。獣医師が泊まりがけで看ると夜間の残業代だけで2万円以上はしますから、入院費が1日3000円とか5000円とかなのであれば泊まりがけの看護は想定されていないということになります。常に10頭ぐらい入院している病院であれば宿直を置くことも可能でしょうが、ほとんどの病院では不可能でしょう。また、入院費1日3万円とか請求されるなら多くの方は泊まりがけの看護を希望しないでしょう。動物病院も商売であり、診療費と人件費と需要の兼ね合いがあるということをご理解ください。

 とはいえ、実際には夜間に看ないわけにもいかないという現実があります。夜間は全く関知しないという病院もありますが、見回りをしたり、泊まりがけで看たりする病院もあります。病院によって方針は様々であり、また、入院費も様々です。
 小さな病院は人も少ないしきちんと看ていないだろうと思われがちですが、そうでもありません。小さな病院の院長は残業代など関係ないので、人知れず一人で泊まって看ているかもしれません。
 逆に大きな企業病院のほうが夜間に誰もいなかったりします。企業病院では勤務獣医師に適正に残業代が支払われるでしょうから、それ以上の入院費を飼い主さんに請求しないと病院が赤字になります。ですので、よほどのことがなければ泊まりがけで看ないでしょうし、泊まる場合は入院費も相応の額になるでしょう。

 従業員に正当な手当を出して夜間の看護を行い、飼い主さんに相応の請求をする、というのが本来は正しいのでしょうが、安くやっている病院では現実的に難しいです。その結果としてサービス残業などブラックが蔓延することになります。あるいは、そうならないように院長が残業してカバーしている場合もあります。
 従業員にサービス残業させる病院は法的に問題がありますが、院長が自らの責任で残業している病院は問題があるわけではありません。健全ではないけど動物の治療のためにはしょうがないというところです。
 視点を変えて飼い主さんの立場から見ると、そのような病院を選んだほうが責任持って治療してくれる上に費用も安いということになります。しかしながら、そこまで深く考えて病院を選んでいる方は少ないかもしれません。
 病院によって入院管理の方針は異なるのですが、それが情報として表に出てくるわけではありませんので、飼い主さんからはなかなかわからないでしょう。接客が親切で優しそうだから夜間も看てくれるだろうと考えるのは間違いで、全く無関係です。私見としては、院長が心配性かどうか、無駄な責任感があるかどうか、プライベートを重視していないかどうか、などが関係しているのではないかと思われます。

 ここから先は当院の話ですが、私は入院がいればだいたい泊まって看ています。泊まりすぎで同業者からも呆れられるぐらいです。入院費は1日3~4000円です。泊まるとはいっても寝ずに看ているわけではありませんし、たまに家に帰る時もありますので、それはご了承いただかないと受け入れはできません。夜間はどうなっていますかと聞かれれば答えますが、聞かれなければわざわざ恩着せがましい説明は致しませんので、理解されている方とされていない方がいらっしゃると思います。私に気を遣ってくださる方もいらっしゃいますが、自分で好きでやっていることですから気にされる必要はありません。

 当院は、以前は入院件数が少なかったのですが、2017年頃から増えてきました。これは私の診療方針が変わってきたことも影響しているかもしれません。以前は、手間と費用をかけずに治すことにこだわりすぎていたのですが、最近はそれよりも最善の治療をすることを優先するようになっています。お金のことで飼い主さんに忖度しすぎても動物のためにはならないということがわかってきました。また、以前に比べて治療を希望する飼い主さんの割合が増えてきているような気もします。治療を希望する飼い主さんにはできるだけ力になりたいですし、いまのところは自分の体力的な問題も起きていませんので、当面はこのまま続けていく予定です。

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