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症例紹介
2016/03/22
症例:猫の腸切開(毛玉)

 5歳の長毛猫です。2日前から吐くようになり、何も食べず元気もないとのことで来院されました。

 まず、触診を行いましたが、特に異常は認められませんでした。続いて血液検査と超音波検査を行いました。血液検査では異常はありませんでしたが、超音波検査にて小腸の一部分に液体貯留による拡張が認められました。これにより腸閉塞の可能性が疑われましたので、X線検査およびバリウム造影検査も行いました。

 通常のX線では異物自体を確認できませんでしたが、バリウム造影を行ったところ、小腸の途中で止まってしまい、先に流れませんでした。

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 以上から異物による腸閉塞を疑い、開腹手術を行うことにしました。

 開腹してみると、小腸内に閉塞部位がありました。

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 切開して異物(毛玉)を摘出しました。

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 今回は毛玉による小腸の閉塞でした。毛玉が完全に詰まるというのはそうそうあることではありませんので、私も予想していませんでした。猫が吐いている場合、何か誤飲しませんでしたか?と必ず飼い主さんに聞きますが、今回のような場合は当然ながら何も誤飲していないと言われます。それでも異物による閉塞を疑わなければいけません。手術に踏み切る際にはプレッシャーもありますが、閉塞して時間が経てば経つほど腸の損傷が進んで命の危険がありますので、様子をみてから考えるというような余裕はありません。

 異物といえばX線というイメージですが、実は多くの異物はX線に写りません。X線よりも超音波のほうが有用な場合が多いので、私はまず超音波検査を行い、それから考えるようにしています。今回は超音波だけで診断がつけばさらに早く手術に進めたわけですが、確信はあったとはいえ、異物自体が見えず何を誤飲したかもわからないという状況では踏み切れず、バリウムまで行いました。別の獣医師であればすぐに手術していたかもしれませんし、さらに別の獣医師であれば異物に気付かず手術が遅れていたかもしれません。

 元気だった動物が急に吐いて具合が悪くなったのだから腸閉塞に決まっているだろうと思われるかもしれませんが、実際にはそうでない場合が多々あり、例えば急性膵炎などでも同じような症状を呈します。手術したけど何もなかったという事態は最悪なので、診断には慎重になります。ただ、さらに最悪なのは手術が遅れて亡くなってしまうことであるということも頭においておかなければいけないというところです。

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