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症例紹介
2015/01/19
症例:犬の異物誤飲(磁石)

 食欲がなく吐いているとのことで来院されました。飼い主さんが磁石を誤飲したかもしれないと言われたため、X線検査を行いました。

 X線では、胃の中で2個くっついていると思われる磁石が認められました。バリウム検査も行いましたが、胃から先へ全く流れていきませんでした。

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 以上から、胃から十二指腸への出口が閉塞していると判断し、開腹手術を行うことにしました。

 開腹したところ、胃壁に付着した磁石が確認されました。しかし、ふつうであれば異物は胃の中にありますので、外から直接は見えないはずです。見えるということは、内側から胃壁を貫通したか、外側から胃壁に付着したか、どちらかということになります。予想外の事態でした。

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 磁石を除去してみると、圧迫されて変性した胃壁の膜の内側にもう1個の磁石がありました(写真は膜を剥がした後ですが、わかりやすいように摘出後の磁石も写しています)。

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 つまり、2個の磁石が胃壁を挟んで内側と外側でくっついていたということになります。この磁石も除去し、穴の周囲をきれいにしてから縫合しました。

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 その後、腹腔内を観察すると、結腸に1.5cmぐらいの穴の開いた部分が見つかりました。

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 糞便は貯留しているものの漏出している様子はなく、腹膜炎にもなっていないようでした。その部分を縫合し、腹腔内を洗浄してから閉腹しました。

 術後は順調に回復し、5日目に退院しました。

 まとめますと、胃の内側と外側で磁石がくっついていて、結腸は一部破れていました。これはおそらく以下のようなことだと考えられます。

 2個の磁石を誤飲し、1個は胃内にとどまり、もう1個は結腸まで流れる
→横行結腸は胃の近くに位置しているため、そこまで流れたところで胃の中にある磁石と引き合い、結腸と胃を挟んでくっつく
→結腸壁は胃壁よりも薄くて脆いため、圧迫により先に破れる
→結腸内の磁石は胃壁の外側に付着し、結腸は穴が開いた状態となる

 腸が破れると便が漏れ出て腹膜炎になり、助けることは困難となります。本症例においていつ結腸が破れたかは不明です。バリウムが流れなかったのは閉塞ではなく胃が動いていなかったためと考えられますが、その時点ではまだ胃と結腸が張り付いていて破れていなかった可能性もあります。いずれにしろ、すぐに手術できたため危機一髪で助けることができました。また、膵臓など他の臓器の損傷がなかったことも幸いでした。

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 上の写真は摘出した磁石ですが、想像を超える超強力磁石でした。1個だけであれば腸が破れることはないでしょうが、2個以上の磁石、または磁石と金属を一緒に誤飲すると、腸を挟んで磁石が引き合って今回のような事態が起こり得るようです。

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