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症例紹介
2014/11/09
症例:雄猫の尿道閉塞

 去勢済みの3歳雄猫ですが、尿が出なくてぐったりしているとのことで来院されました。

 お腹を触診すると膀胱が重度に拡張しており、尿道が閉塞している状態であると考えられました。このような場合は一刻も早く閉塞を解除して尿を排出してあげないと命が危ないです。

 まずは膀胱の破裂を防ぐために針を刺して一部の尿を抜きました。その後、尿道へのカテーテル挿入を試みました。尿道は栓子によって詰まっていてなかなか入りませんでしたが、なんとか入れられました。そのままカテーテルを皮膚に縫い付けて留置しました(写真)。

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 尿検査では、重度の血尿でしたが細菌感染は認められませんでした。X線検査では、膀胱と尿道に結石は認められませんでした。尿道に詰まっていた栓子は主にストルバイト結晶が固まって形成されたものと考えられました。
 血液検査では、BUN:>140、CRE:17.7、K:9.0で、尿毒症と高カリウム血症になっていました。高カリウム血症は心臓を停止させるおそれがありますので、非常に危険な状態でした。

 治療としては、数日間は尿道カテーテルを入れたまま点滴と注射を行い、食事は療法食を与え、折を見てカテーテルを抜き、自力で尿が出るようになったら退院ということにしました。生理食塩水の点滴、カルシウム製剤の注射、インスリンと糖の注射を行い、8時間後にはカリウムは6.8まで低下しました。尿毒症については、点滴を続けて2日後には正常値まで下がりました。

 尿道に留置したカテーテルは2日後に抜去しました。抜去後は少量の尿が出てはいたものの再閉塞のおそれがあったため、半日後にまたカテーテルを入れて導尿と膀胱洗浄を行いました。その後はカテーテルを入れなくても圧迫排尿で抵抗なく尿が出るようになりました。

 翌日に退院し、家では療法食を与えながら1日1回通院してもらうことにしました。家に帰ってからは少量頻回ですが尿は出ており、カテーテルの処置は行っていません。尿の出方については徐々に改善していくものと思われます。

 本症例は内科療法で改善しましたが、今後また尿道が閉塞する可能性もあります。再発する場合や尿道が狭窄してカテーテルも入らないような場合には尿道を開口させる手術が必要となりますが、とりあえず今回は行わずに済みそうです。また、根本的な原因はストルバイト結晶ですので、今後も療法食を続けて経過をみていく必要があると思います。

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