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院長コラム
2022/07/27
【コラム】ペット保険について

  
獣医師をやっていると「ペット保険に入ったほうがいいですか?」と聞かれることがよくあります。多くの獣医師は「そうですね〜、○○ちゃんのためにね〜、いざという時のために入ったほうが安心ですね〜」とか答えると思います。しかし、保険にはメリットとデメリットがあるわけであり、理解していない方に全面的に勧めるのは無責任だろうと思っておりましたので、今回こちらにまとめることにしました。
  
  

ペット保険は基本的には損をする

  
ペット保険に入ると金銭的に得をすると思っている方が意外に多いようなのですが、これは間違いです。実際にはほとんどの方は損をします。保険会社に利益が出るように設計されていますから当然のことです。
  
火災保険、自動車保険、(場合によって)生命保険、などは損をするとわかっていても万が一の生活破綻回避のために加入するべき保険と言えます。しかし、ペット保険はそれらの保険とは性質が異なりますので、必ず加入するべきとは言えません。また、やる気のある方のみが加入するペット保険と、強制的に加入させられる人の公的保険(健康保険や国民健康保険)を同列に考えてもいけません(国庫負担や高額療養費制度などの違いもあり)。このあたりの詳細は割愛しますが、調べれば簡単に理解できると思います。
  
なお、「ペット保険は損だから加入してはいけない」と言っているわけではありません。「加入するなら理解した上で」ということを言っております。
  
  

具体的に考えてみる

  
5割負担で年間保険料5万円の保険に加入している場合、年間10万円(月8300円)の治療費を使うとトントンになります。しかし、毎年そんなに使うでしょうか。突発的な手術(異物誤飲、骨折、椎間板ヘルニアなど)で使う年もあるかもしれませんが、毎年ではないと思います。また、手術費の補償は上限がある場合が多く、一部しか補償されないことはよくあります(80万円の手術で15万円しか補償されない、など)。
  
例外として、「心臓病の治療で高価な薬を使い続ける」「アトピーや免疫疾患で高価な薬を使い続ける」などの場合はプラスになる可能性はあります。ただ、当院ではそこまで薬代が高くならないことがほとんどです。
  
保険料は高齢になるともっと高くなりますし、病気になりやすい犬種では最初から高かったりもします。
  
  

保険に入らず貯金する?

  
保険には加入せず代わりにペット用に貯金をするのがベストであるという意見があります。これはおそらく正しいです。ただ、それを続けられる強い意志を持っている方はあまりいないだろうという理解をしておりますので、私は積極的には勧めておりません。意志の強い方はこの方法がよいと思います。
  
  

安心のために保険に入る?

   
「保険は安心のために入る」「病気にならず保険を使わないのであればそれは幸せなことだ」みたいな意見もあります。これは気持ちはわかりますが、もっと損得を考えるべきだと思います。どの程度補償されるのかも知らずになんとなく安心するというのはよくないです。病気になって保険を使う状況になったとしてもマイナスの場合が多いという真実を知ると、「じゃあ何のために入るのか?」という疑問が出てくると思います。その上で入るかどうかを検討してください。
  
  

獣医師がペット保険を勧めることについて

  
冒頭で書いたように獣医師の多くはペット保険を勧めると思います。これは獣医師が深く考えていないだけであり、保険会社の回し者だからではありません(ペットショップは回し者かもしれませんが)。
  
病院としては、保険に入っている方はそこそこ治療する気があるだろうと判断できますし、診療費請求も気が引けにくいというメリットはあると思います。ただ、これは飼い主さんのメリットになるわけではありません。
  
マクロな視点で見ると、本来病院で治療に使われるはずのお金が一部保険会社に入っていることになりますので、保険の存在のせいでむしろ治療機会が少なくなっているのではないかとも思っております。
  
  

ペット保険に加入したほうがよいかもしれない人

  
「積極的に治療する気がある」という方は保険加入もよいかもしれません。基本的にはそれだけが判断基準になると思います。「積極的に治療する気はないけどいざという時のために」と考えている方は、加入してもあまり使わないでしょうからやめたほうがよいでしょう(あるいは手術のみで使える保険に加入)。「お金に余裕がないから加入したい」という方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合は前述した貯金のほうがよいと思われます。
  
ただ、運しだいですので、結果的に加入してよかったとか加入しなければよかったとか、そういうことは起こり得ます。
  
  
ここからは、保険に加入する場合についての話です。
  
  

保険の選び方

  
「治療全般で使える保険」「手術のみで使える保険」などいろいろありますが、それぞれメリットとデメリットがありますので、保険料や補償内容を吟味してから加入することをお勧めします。「吟味してから加入する」あるいは「腹を決めて加入しない決断をする」の二択です。
  
「手術のみで使える保険」は使う機会は少ないですが、保険料が安い割に補償上限額は高く、前述した突発的な手術に対応できるという点で悪くはありません。保険の本来の目的にも合致しているような気はします。
  
具体的な話としては、皮膚病になりやすい犬種では「治療全般で使える保険」、椎間板ヘルニアになりやすい犬種では「手術のみで使える保険」、などのように考えて選ぶのもよいと思います。ただ、犬種毎の発病傾向に沿って保険料も決められているでしょうから、その分保険料は割高になっているかもしれません。
  
窓口精算可能かどうかを重視する方もいらっしゃるようですが、それよりも保険の中身を重視したほうがよいと思います。同様に、動物病院を選ぶ際も窓口精算可能かどうかよりも病院の方針や実力を重視したほうがよいと思います。
  
どこの会社がお勧めなのかということに関してはよくわかりません。保険料のうち何割を支払いにあてて何割を会社の取り分とするか(つまり付加保険料の割合)は各社の自由となっているようで、公表もされておりません。ですから、どの会社の保険が割が良いかは判断しかねるということになります。
  
  

保険を選ぶ際に確認すべきこと

  
・補償対象外の疾患
約款に書いてありますので必ず確認するべきです。「歯周病治療が対象かどうか」などはけっこう重要です。
  
・慢性疾患で使えるかどうか
慢性疾患の治療で保険を使い続けていると、「来年からはこの病気では使えません」と通告される場合があります。
  
・契約更新を拒否する会社かどうか
同様に、慢性疾患の治療で保険を使い続けていると契約更新を拒否される場合があります。通告書を見たことがありますが、「あなたにはこれまで多く支払ってきたしこれからも必要そうだから契約更新はしない」といった文面でした。1年毎の契約なので更新拒否は違法ではないのですが、飼い主さんに落ち度はないのにひどい扱いだなと思います。
契約更新を拒否しない会社も多数ありますので、必ず確認したほうがよいでしょう。ただし、おそらくどの会社の約款にも更新拒否の可能性は書かれていると思います。「請求額が多いという理由だけで更新拒否や疾患除外をする会社なのかどうか」を会社に直接聞く、経験談が書かれたブログなどを参考にする、などがよいと思います。
  
  

保険に加入する際の飼い主側の問題

  
保険加入前にすでに病気が発覚している場合は申告する義務があります。軽く考えて申告しない方がけっこういらっしゃるようですが、罪に問われますから絶対にやってはいけません。
  
特に、保険を他社に乗り替える際に申告しない方が多いようです。外耳炎や皮膚炎なども申告する必要があります。そうするとその病気に関しては保険が使えません。つまり、すでに保険に入っていて、軽かったとしても病気の治療を行った経歴があるのであれば、乗り替えずにそのまま加入し続けたほうがよいということが言えます。年齢が上がって保険料が高くなったから乗り替えるという方が多いようですが、先々までよく考えてから加入するようにしてください。
  
  

保険適用外の治療が多いという問題

  
「予防」「避妊去勢」「健康診断」などの際に保険が使えないのはよく知られていますが、病気の治療の際にも保険が使えないケースがあります。
  
例えば、検査、注射、薬などは保険適用ですが、療法食、サプリメント、薬用シャンプーなどは保険適用外です。
  
近年、高品質なサプリメントや療法食が使用可能となっておりますが、保険適用外かつ価格が高いという問題があります。保険に加入している場合は、保険適用の薬を使うか、適用外のサプリメントを使うか、など余計なところで悩むことになります。飼い主さんの多くは保険適用外でもより良い治療のほうを希望されるため、大抵サプリメントを使うことになります。
  
以下、治療が保険適用か否かを病気別にざっと記載しておきます。
  
・心臓病
治療のメインは内服薬なので、概ね保険適用です。
  
・皮膚病
内服薬と外用薬と病院での薬浴は保険適用、療法食と薬用シャンプー(販売)は適用外です。病気によりますが、適用部分のほうが大きいと思われます。
  
・消化器病
内服薬は保険適用、療法食とサプリメント(整腸剤など)は適用外です。近年、適用外部分の割合が大きくなっています。
  
・腎臓病
検査と輸液と内服薬は保険適用、療法食とサプリメントは適用外です。治療のメインは療法食とサプリメントですので、適用外部分の割合が非常に大きいということが言えます。通院の皮下輸液は適用ですが、年間の使用回数制限があると使いづらいという問題もあります。
  
・腫瘍
概ね保険適用です。
  
  

ペット保険についてのまとめ

  
・治療に積極的な方は加入する価値あり、積極的でない方は加入する価値なし
  
・治療に積極的な方でもマイナスになる可能性のほうが高い
  
・保険に入るよりも自主的に貯金したほうがよいかもしれない
  
・加入するなら病気になる前の若いうちに
  
・病気が発覚したら加入はあきらめる
  
・契約更新を拒否しない会社を選ぶ
  
・基本的には一度加入したら他社には乗り替えない
  
・保険に加入したからにはしっかり治療する
  
・腎臓病や消化器病などでは意外に保険が使えない

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