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院長コラム
2017/01/07
【コラム】無麻酔の歯石除去について

 まず結論から申し上げますと、無麻酔での歯石除去は行ってはいけません。これは効果が小さい上に危険であるという理由によります。

・効果について
 目に見える歯石は取れますが、それだけでは不十分であり、歯周病の治療にはなりません。歯石は存在しないに越したことはありませんが、もっと重要なのは歯と歯茎の境目(歯周ポケット)で、ここをきれいにすることが一番の目的となります。痛いですから無麻酔では困難です。
 また、歯石を取っても歯の表面がガタガタな状態なのですぐに再付着します。研磨する必要がありますが、これも無麻酔では困難です。
 つまり、見た目がきれいになるだけで健康上の効果は小さいということになります。また、きれいだと思っているうちに歯周病が進行していくという結果にもなってしまいます。

・危険性について
 多くの動物は嫌がって暴れますので、押さえつけて行うことになります。口の中の怪我、顎の骨折などの事故が起きる可能性があります。また、嫌な記憶が残るとその後のデンタルケアが困難になってきます。
 高齢、心臓病などの理由で麻酔を避けたいという考えもあるようですが、興奮して暴れるほうがよほど危険です。特に心臓が悪い場合などは呼吸困難となるおそれがあります。

 無麻酔の歯石除去を行っているトリミングサロンも存在します。どうやら当院の近くにもそのようなサロンがあるようですが、行かないほうがいいだろうと思います(追記 2017年夏頃に残念ながら閉店されたようです)。法律的には獣医師以外が行ってもすぐに違法とはならないようですが、素人による処置がなおさら危険であることは言うまでもありません。出血や呼吸困難などが生じたらどうするのでしょうか。ちなみに出血した時点で医療行為とみなされて違法となるようです。

 無麻酔の歯石除去は、一見良心的だと思われるかもしれませんが、歯石だけ取ればいい、麻酔は危険で無麻酔は安全、という誤ったイメージにつけこんだ商売であると考えて差し支えありません。私だけでなくほとんどの獣医師は推奨しておりませんので、ご理解いただきますようお願いいたします。

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